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日台ビジネス文化のギャップ

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― 商談・契約・関係構築の違いから読み解く ―

日本と台湾は、地理的にも心理的にも距離が近く、親日的なイメージから「ビジネスもやりやすいはずだ」と考えられがちである。
しかし、実際に商談やプロジェクトを進めると、細かな価値観や仕事の進め方の違いに戸惑う日本側企業は少なくない。

本記事では、商談・契約・関係構築の3つの視点から、日台ビジネス文化のギャップを整理し、その背景と向き合い方について考察する。

1. 商談スタイルの違い

日本:「準備と合意形成」

台湾:「スピードと柔軟性」

日本の商談は、事前準備と社内合意を重視する傾向が強い。
初回商談で詳細な資料を提示し、条件を慎重に詰め、社内稟議を経てから次のステップへ進む、という流れが一般的である。

一方、台湾の商談はテンポが速く、柔軟だ。
初回ミーティングから具体的な条件や価格の話に入ることも珍しくなく、「まずやってみよう」「後で調整しよう」という姿勢が見られる。

この違いにより、日本側は
「話が早すぎて不安」
台湾側は
「なぜそんなに時間がかかるのか」
と感じるケースが生じやすい。

重要なのは、台湾側のスピード感を「雑」と捉えるのではなく、変化に対応する実践的な合理性として理解することである。

2. 契約に対する考え方

日本:「契約はゴール」

台湾:「契約はスタート」

日本では、契約書はリスクを回避するための最終的な取り決めであり、内容を厳密に詰めることが重視される。
一度締結した契約は、基本的に守られるべきものという認識が強い。

対して台湾では、契約はあくまで協業のスタートラインと捉えられることが多い。
市場環境や状況の変化に応じて、条件の再交渉や調整が行われることも現実的な選択肢だ。

そのため、日本側が「契約書通りに進まない」と感じる一方、台湾側は「状況が変わったのだから話し合うのは当然」と考えている場合がある。

このギャップを埋めるためには、

  • 契約内容を明確にする

  • 同時に、調整余地や協議プロセスをあらかじめ共有しておく

といった姿勢が有効である。

3. 関係構築の考え方

日本:「仕事とプライベートは分ける」

台湾:「人との関係がビジネスを動かす」

台湾ビジネスにおいて特に重要なのが**人間関係(關係/グアンシー)**である。
信頼関係が築かれることで、情報共有が早くなり、意思決定もスムーズになる。

食事やカジュアルな会話、雑談を通じて距離を縮めることが、結果的にビジネスの成功につながるケースも多い。
日本的な「仕事だけの関係」を保ちすぎると、どこか壁を感じさせてしまうこともある。

これは決して公私混同という意味ではなく、「誰と仕事をするか」を重視する文化の表れである。

4. ギャップを乗り越えるために必要な視点

日台ビジネスのギャップは、「どちらが正しいか」という問題ではない。
異なる文化的背景と価値観が存在するだけである。

重要なのは、

  • 日本の強みである「丁寧さ・信頼性」

  • 台湾の強みである「柔軟性・スピード感」

を対立させるのではなく、補完関係として活かす視点を持つことだ。

そのためには、

  • 最初の段階で期待値をすり合わせる

  • 「違いがある前提」でコミュニケーションを取る

  • 相手の文化を理解しようとする姿勢を示す

ことが、長期的なパートナーシップ構築につながる。

おわりに

台湾市場は、親日的でありながらも独自のビジネス文化を持つ、非常にダイナミックな市場である。
文化の違いを障壁として捉えるのではなく、新しい価値を生み出すヒントとして受け止めることが、日台ビジネス成功の鍵となるだろう。

TAIWAN LABOでは、今後も台湾と日本をつなぐリアルな視点を発信していく。

参考文献

  • Digima〜出島〜
    「台湾の文化・生活習慣を徹底比較」
    (台湾の商習慣、ビジネスコミュニケーションの特徴に関する解説)
    https://www.digima-japan.com/knowhow/taiwan/

  • Cotohajime.net
    「日本と台湾のビジネス文化の違い」
    (日台の価値観・働き方・商談スタイルの比較)
    https://cotohajime.net/business-culture-taiwan/

  • Taiwan Gold Card Office
    「Business Etiquette in Taiwan(台湾のビジネスマナー)」
    (台湾におけるビジネス上の基本的な考え方・対人関係)
    https://goldcard.nat.gov.tw/ja/why-taiwan/business-etiquette-in-taiwan/

  • Applemint.tech
    「台湾の営業スタイルと日本企業との違い」
    (台湾ビジネス現場での商談スピード・交渉文化に関する実務視点の記事)
    https://www.applemint.tech/

  • Applemint Lab
    「台湾企業と日系企業の交渉・契約における注意点」
    (日台間で起こりやすい交渉・契約トラブル事例の整理)
    https://applemintlab.com/ja/

  • Japan WIP Group
    「台湾市場における契約書と商習慣のポイント」
    (台湾企業との契約に関する実務・法務上の注意点)
    https://japan.wipgroup.com/

  • Boyé Lafayette De Mente
    Japanese Business Culture and Practices: A Guide to Twenty-First Century Japan
    (日本的ビジネス文化・意思決定プロセスの基礎理解)
    Tuttle Publishing

  • Yan, P. & Yasseri, T.
    “Two Roads Diverged: A Semantic Network Analysis of Guanxi”
    (グアンシー(關係)概念の文化的・社会的背景に関する研究)
    arXiv.org

 

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株式会社maippleのインターン生が台湾のホットトレンドを更新していきます。 現在、台湾の大学に在籍中なので現地から最近のビジネスの動向なども取り上げていきます。

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