
なぜ今「ICカード完全ガイド」が重要か
台湾では、公共交通・買い物・各種決済など多用途に使える交通系ICカードが既に広く浸透しています。特に首都圏のMRT(地下鉄)やバス、地方都市での移動、コンビニ決済やレンタサイクルなど、日常の「ちょっとした支払い」までカバー。
あなたが日本企業として台湾進出や台湾とのビジネス連携を考えているなら、こうした「キャッシュレス × モビリティ」のインフラと普及状況を理解するのは、生活者視点のローカル理解=「ユーザーのリアル」をつかむうえで非常に重要です。
ここでは、基本のICカードである EasyCard・iPASS の仕組み、使いどころ、最近の新サービスまでを整理しました。
EasyCard と iPASS — 基本性能と使い分け

✅ EasyCard(悠遊卡)とは
- EasyCard は 2002年に導入された、台湾で最もポピュラーな非接触型プリペイドICカード。
- 対応交通:MRT(地下鉄)、バス、フェリー、地方鉄道、ライトレール、自転車レンタル(例:YouBike)など広範囲。
- 交通以外の用途にも対応:コンビニ・スーパーマーケット・飲食店・駐車場・一部観光施設などで「電子マネー」として使える。
- カード購入は MRT 駅の窓口/券売機、あるいはコンビニ(7‑Eleven, FamilyMart など)で可能。標準カードはたいてい NT$100 で、購入時はチャージが必要。
✅ iPASS(一卡通)とは
- iPASSは元々、南部(特に高雄など)で普及し始めたICカードだが、現在は台湾全土で使える。
- 交通と決済の両方に使え、MRT・バス・鉄道・ライトレール・レンタサイクルなど。
- 買い物や飲食、スーパー/コンビニ等でも使える点は EasyCard と同様。
🎯 どちらを選ぶべきか?

多くの旅行者や居住者は「どちらか1枚」を持っておけば事足りる、と言われています。
最新の動き — 新サービスと制度(2024〜2025年時点)

最近、台湾の交通/キャッシュレスシーンは一層変化しています。以下、注目すべきアップデートです:
🔄 TPASS 2.0 — 定額パス+還元制度の進化
- 2023年に導入された共通定額定期券サービス「TPASS」が、2025年2月から「TPASS 2.0」としてリニューアル。
- EasyCard や iPASS(その他一部ICカード)を使い、月間の公共交通機関の利用回数に応じて「乗車費用の還元」が受けられる制度。
- 高速バスも対象に拡大、例えば1ヶ月に複数回利用すれば最大で利用額の30%還元など、通勤や事業用移動が多い人にとってメリットが大きい。
→ 事業で台湾国内を頻繁に移動するような企業やビジネス用途でも、コスト削減の武器になる可能性あり — 日本企業が台湾進出後の移動コスト想定をする際には、要チェックです。
📱 モバイル決済・QRコードでの交通支払い
- 2025年では、モバイル端末やクレジットカード、QRコード決済でのMRT乗車が可能になる改札ゲートの導入が進行中。
- また、iPASS 側では既に「TWQR」コードを使った交通支払いサービスを開始。銀行アプリ等で生成するQRコードを改札でスキャンすれば、カード不要で乗車可能。
- つまり「物理カードレス」で、スマホや銀行カードだけで移動が完結する世界へ — 今後、ICカード保有の必須度は下がる可能性があります。
🌱 サステナビリティへの取り組み — EasyCard / iPASS の企業戦略
- EasyCard 社は「Transportation Carbon Footprint Statistics via Electronic Ticket」という電子チケットを使った通勤通学の炭素排出量集計システムを導入。2023年に英国認証機関から認証を取得し、アジア太平洋のサステナビリティ賞も受賞。
- iPASS 側も 2025年に「iPASS グリーンポイント」という制度を打ち出し、交通利用を通じた脱炭素社会の推進をアピール。
- 日本企業が台湾でビジネス展開する際、社員の通勤費管理やサステナビリティ報告を行うにあたって、こうした「交通 × サステナビリティ × キャッシュレス」の仕組みは、大きな参考になるでしょう。
なぜ日本企業/ビジネスマンにとって重要か
- 社員・出張者の移動コスト管理を簡素化できる
多拠点での移動・出張がある場合、TPASS などを活用すれば月額定額+還元で交通コストを最適化できる。 - ローカルの消費・決済習慣に即した理解ができる
コンビニや小売、飲食、レンタサイクルなどでも使えるICカードが普及しており、現地生活や消費習慣の感度を高められる。 - サステナビリティやESG対応の一環として活用可能
EasyCard/iPASS の炭素排出量集計システムなどは、通勤・移動の「見える化」に役立つ — 台湾進出時のCSR戦略/環境配慮にも有効。 - 将来的なモバイル決済・キャッシュレス移行を先読みできる
カードからスマホ/QR決済への流れは加速中。今から理解しておけば、サービス設計や福利厚生設計で先手を取れる。
まとめ — 日本企業視点での活用ポイント
- 台湾でビジネス展開や拠点展開をするなら、まずは EasyCard または iPASS を “基本カード” として理解・活用する。
- 月間での移動や出張がある場合、TPASS 2.0 のような還元・定額制度を導入対象に。
- 将来的な社員福利厚生/通勤管理、サステナビリティ報告などを見据え、ICカード + モバイル決済 + カーボン集計の仕組みに注目。
- 台湾のキャッシュレス文化や消費習慣を理解することで、ローカル顧客やパートナーとの関係構築にも役立つ。
参考文献
- Guide to Taiwan: EasyCard, iPass e‑Payment IC Cards 悠遊卡、一卡通、電子交通支付卡 — GuideToTaiwan.com (GuideToTaiwan.com)
- EasyCard Taiwan: Where to Buy & Where to Use — ibeauty.com.tw (iBeauty)
- もう切符売り場で悩まない!世界の交通系ICカード徹底攻略(台湾編) — tabinote (tabinote | たびのて)
- 台湾悠遊カードガイド2025:料金、使い方、購入場所 — Travel TW (Travel TW)
- iPASS Taiwan: Easy Guide to Buy, Use & Top Up — taiwantravelnow.com (Taiwan Travel Now)
- 台北MRT、新たな決済オプション導入(QRコード/クレジットカードなど) — Taipei Times / TVBS,ほか (Taipei Times)
- iPASS の「TWQR」モバイル決済導入 — Taipei Times(2025年3月) (Taipei Times)
- TPass 2.0 共通定期券・還元制度の詳細 — 台湾交通部公路局 / 各交通ニュースサイト (Taipei Times)
- EasyCard 社の炭素排出量トラッキングおよびサステナビリティ活動について — EasyCard Corporation公式情報 (event.easycard.com.tw)
- iPASS グリーンポイント制度について — iPASS Corporation / 環境金融関連記事 (energynippon.com)


