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日本より先を行く?!気になる台湾のeスポーツの今を紹介!

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台湾のeスポーツゲーム中の様子
出典 : BUSINESS NEXT

ニュースサイトの記事を見ると、日本でもeスポーツが盛り上がりを見せてきているようで、2018年12月15日、16日には日本初の優勝賞金1億円を超える大会が開催され、日本人が優勝したというニュースが掲載されていた。また「eスポーツ」が2018年の流行語Top10にランクインしたことや、国内市場規模が2017年と比べて13倍に拡大したということも言われており、ついにeスポーツが一般に浸透してきている。では台湾のeスポーツ環境はどうかについて今回は紹介していきたい。

 

台湾の人々のeスポーツへの注目

台湾のeスポーツ人口が1450万人に上っていることを示す画像
出典 : 4Gamersニュースページ

台湾のeスポーツ会社でアリババのスタートアップファンドからも支援を受けている4Gamersが2018年12月に発表しているデータによると、台湾のeスポーツに関わる人口は1450万人、消費総額訳13億米ドル(約400億台湾ドル)にも上っている。肌感からすると、アジアの中でeスポーツ先進国である韓国に比べるとまだまだであるが、これから発展が見込まれ、順調に産業として発展段階にいる状況というのが実際のところではないだろうか。ただ日本と比べるとかなり広い層に既に浸透、支持されている印象がある。eスポーツ産業に関わる人材の需要は2017年第三四半期段階で2013年の同時期の2倍に増えており、今後さらなる需要が予想されている。

 

eスポーツの市場規模を示す画像。アジア地区が規模としてはトップ。
画像は2016年度の市場規模を示す。2018年11月現在も依然としてアジアがトップとなっている。

2018年11月現在、eスポーツ市場規模はアジアが1兆6,350億台湾ドルでトップとなっているが、台湾はそのアジアの中でも現在5番目の地位についていると言われ、また収入成長率自体は2018年11月段階で40%とアジアでトップであることが報告されている。AIに基づいた分析によると2019年の台湾におけるビジネスチャンスは900万機会、市場生産額は530億台湾ドルに達するという想定もなされており、発展途上と言えどその成長スピードは注目すべきである。

 

もう一つeスポーツの注目が高まっていることを示すデータを上げると、ライブストリーミング配信プラットフォームであるTwitchでの台湾の視聴トラフィック量は世界で5位となっており、台北、台中、高雄、桃園といった都市に注目したときには世界最多のトラフィック量が観測されている。これにはもちろん台湾人がもともとSNSやYoutubeの利用率が高いこともあり、スマートフォンやPCの利用がより身近で、視聴へのハードルが低いというベースもあるだろうが、この話から少なくとも日本人よりはeスポーツというものが身近にあることが想像できる。

 

eスポーツの振興には様々なアクターの動きが必要だと思うが、現在eスポーツを取り巻く環境でどんなことが行われているのかについてこれから紹介していきたい。

 

台湾では政府がeスポーツをスポーツ産業として認可している

日本でもスポーツ庁がeスポーツはスポーツか否かどうかを議題としてあげるような学術会議を開いているような状況だが、台湾では日本より一足先に政府がeスポーツを公式にスポーツ産業として認め、eスポーツ振興の支援をしている。具体的には行政院が運動産業発展条例を一部改正したことによって、地方自治体などが国の定めるプロジェクトや計画に基づいて予算投資を行えるようになった。

 

また林前行政委員長はeスポーツを条件付きで替代服(軍事訓練の代わりに事務作業などを行うこと)と同等のものとみなしたり、専門学校での特別科目に指定し、将来的には大学に入る際にeスポーツでの成績を評価の加点対象として認める他、前瞻基礎建設計畫来を見据えたインフラ建設計画)」の中でインターネット網の更なる普及などのため13億台湾ドルの投資を行うとし、eスポーツ産業推進の大きな追い風を作った。

 

大手民間企業のeスポーツ振興への貢献

eスポーツ産業が発展すれば、川上川下産業の発展も期待できることを見込んで民間企業もeスポーツの拡大に力を注いでいる。

 

台湾で発足したeスポーツ振興のための「ROG 校園電競聯盟」
出典 : Tech News

世界的な電子機器メーカーのASUSは2018年11月末に「ROG 校園電競聯盟」の立ち上げを発表した。台湾国内の10の大学や高校、専門学校の代表者らとahq e-Sports Clubの創設者である謝松佑がこのプラットフォームに参加している。ASUSはハードウェア面での支援を行うだけでなく、eスポーツに関する講演を15以上の教育機関で行ったり、ahq e-Sports Clubと協働してeスポーツの講義や体験教室を積極的に開催している。(加盟教育機関:三信家商、中山工商、台北城市科技大學、台北海洋科技大學、青年高中、修平科技大學、莊敬高職、華梵大學、遠東科技大學、僑泰高中)

 

出典 : Tech News

大手通信会社の中華電信もアジア最大のeスポーツの催しに通信面で協力したり、eスポーツ大会を共催するなどの活動を積極的に行っている他、eスポーツを快適に楽しむための1か月188台湾ドルの有料回線プランを展開している。

 

eスポーツをメイン事業とする企業

台湾のeスポーツ産業を牽引しているのは大手企業だけでなく、スタートアップやアクセラレータ―も同様である。アリババのスタートアップファンドからも支援を受けているスタートアップの4Gamersは台湾国内外のeスポーツに関わるニュースを伝えるデジタルマガジン「4GAMERS」の発行や、eスポーツ大会の運営やオンラインライブストリーミングプラットフォームでの生放送やビデオ広告事業を展開することで、産業発展に貢献している。

 

出典 : 4Gamers

また三立電視、金星製作を始めとするテレビやゲーム会社の共同出資によって設立された台灣電競股份有限公司も忘れてはいけない。現在この会社は台湾国内でのイベントや大会の運営、eスポーツ選手の育成、競技場の管理などを行っており、2018年でいうとIESF Esports World Championshipの開催を行っている。現在は政府や20の教育機関、9の民間企業との連携を進めることで産業チェーンの確立に努めている。また付属組織には日本のプロチームと提携している台灣國際電子競技運動協會(TieSA)が存在し、続々と各大学で設置が進むeスポーツ機関や授業、競技イベントに横のつながりを持たせるなど、大学間のプラットフォームとして機能している。

 

これからの台湾eスポーツ

過去に国籍問題で国際大会で失格になりかけるというトラブルを経験するなど、課題が残されていることも事実ではあるが、政府支援のもと、大学でもeスポーツに関する講義が行われたり、民間企業が普及支援を積極的に行うなど産官学連携が日本よりも進んでいるため、これからより一層の活躍が期待できるだろう。世界の大舞台で活躍する台湾のeスポーツ選手たちから目が離せない。

 

ライター:宮路菜月

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