ペットが多い感覚に陥る台湾
台北の街中を歩いていると、5人に1人はペットと歩いているのでは、という感覚に陥る。
実際に人間と歩いているのは犬ではあるが、野良猫達も、地域の人に飼われていると言っても過言ではないくらい人々に愛され、まるまる太っている。リードをつけないで散歩をしている犬もいるし、人が沢山行き来する歩道の真ん中を堂々と歩く猫の姿を見るのも日常茶飯事である。それくらい台湾には動物と人間が共存している雰囲気に満ちているのだ。では、具体的に台湾ではどれくらいのペットがいて、その市場規模はどれほどなのか、以下で見ていこうと思う。
犬の飼育世帯率は日本より高い
行政院農業委員会の情報によると、台湾全土の2017年の飼い犬の数は、1,777,252匹、飼い猫の数は、733,207匹、合計2,510,459匹となっている。同年の日本の推計飼育頭数は、犬が8,920,000匹、猫は9,526,000匹、合計18,446,000匹である。また、同年の飼育世帯率は、台湾で犬が約20%、猫が約8.5%、一方日本では、犬が12.84%、猫が9.71%となっている。
猫は、日台の差が1.2%ほど日本のほうが高い一方で、犬は、差が7%ほどで、台湾のほうが圧倒的に高いことがわかる。台湾の街中で「多い」と感じるのはあながち間違いでは無いようだ。
ペットの食事にかける金額は、年々上昇
2017年の世界のペット産業規模は2000億アメリカドル(約6兆台湾ドル)に達するとされていたのに対して、台湾は、500台湾ドルに達すると予測されていた。財政部の公布した犬猫のおやつと食品の輸入データによると、前年から8%ほども成長している。これは、飼い主がペットの更なる健康のために、食品の品質に厳しくなり、多くお金を払ってでも、安心できる食品を選びたいという志向が強くなっているからであるそうだ。
ペット志向の増加に社会問題の一面もある
日本で少子高齢化の問題として、最近しばしば挙げられるのは、幼稚園不足の問題などであるが、台湾ではペット志向が一つの原因として挙げられている。台湾も日本と同様、共働きが多く、子育ての時間を確保することが大変であったり、日々の生活に癒しが足りなかったり。そこで人々が求めるのが、人間の子供と比べ手もお金もかからず、癒しを与えてくれるペットの存在である。最近は、結婚して子供を持つより、ペットをパートナーとしたり、ペットを子供として迎えたりするような家族の在り方を好む人が増えているようである。猫や犬等のペットの総称として「毛小孩」(毛の生えた子供)という言葉が有るくらいだ。また中には、ペットを散歩時にベビーカーに乗せている人も多く、動物の健康面から見て、過度な世話を指摘する見方も強く存在する。ペット志向による少子化問題を危惧するために以下のようなグラフも出されている。15歳以下の人口と、台湾全土の犬と猫の数を比較したものだ。
ペット関連の商機は沢山存在する
上記で述べたように、ペットを精神面だけでなく、待遇までも「実の子供」になりつつある現在、そこに重点を置いたビジネスチャンスが広がっている。健康に配慮して、より良い質のペットフード、特別な時用の贅沢なペットフードから始まり、ペット用スパ、ペット用ベビーカー等の実用品、ペットと泊まれるホテルやカフェ等の増加まで様々なフィールドで商機が増えている。痒い所に手が届く日本の技術や、ジャパニーズブランドという信頼をうまく利用すれば、無限大の可能性を秘めていると言えるであろう。
ライター:駒田優希