日台クラフト酒のビジネスチャンスが増えている
台湾とお酒といえば、「台湾ビール」や「飲酒文化があまりない」というイメージを真っ先に思いつく人が多いだろう。しかし、台湾とお酒のイメージはこれから変わっていくかもしれない。実は、日台双方でクラフト酒の可能性が広がってきているのだ。今回は、台湾と日本の視点に分けて検証していく。
台湾で勢いづくクラフト酒
実は最近、台湾オリジナルのクラフト酒の勢いが波に乗っている。例えばクラフトビールの分野では、アジア・ビアカップやワールド・ビアカップで台湾のクラフトビールが受賞成績を数々残している。いまや、金色三麥や掌門精釀啤酒などのクラフトビールを売りにしている店や専門のバーが台湾の町中に軒を連ねている。
ビールだけでなく、ワールド・ジン・アワード2019で台湾のクラフトジンのKavalan Ginは金賞を受賞している。さらに、TWSC東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2019では、同じくKavalanのいくつものウイスキーが金賞を受賞している。
このように飛ぶ鳥を落とす勢いで台湾のクラフト酒は台頭してきているのだ。
台湾における日本産の酒の立場が良くなってきている
蔡英文政権が今年の夏を目途に輸入関税の引き下げを発表した項目の中に、日本酒やビールを含む穀類酒が含まれていた。それらの輸入関税40%から20%に引き下げられることになった。価格のするアルコール製品にとって20%の引き下げは言うまでもなく大きな影響力を持っている。
また、JETROが出している2018年の『日本酒輸出ハンドブック-台湾編-』によると、日本の台湾向け農林水産物・食品輸出の主要品目第二位にアルコール飲料が存在する。そして、以下のグラフから分かるように、2012年以降輸出額は、継続して上り調子である。さらに、2015年以降、輸出量は減少しているのに、輸出額が跳ね上がっていることに対しては、「高級な日本酒が売れているとうかがえる。」と明記している。
台湾に負けず劣らず、日本のクラフト酒もクラフトビールからクラフト日本酒まで様々な種類で台頭してきている。
これらのことから、台湾における日本ブランド酒のシェア拡大が期待できる。
日台クラフト酒の可能性
実は、クラフト酒に注目するにあたって、もう一つ大きなポイントがある。それは、「デザイン性」である。最近注目を集めているクラフト酒は、ボトルのデザイン性が高いものが多い。つまり、「おしゃれ」なのである。SNSでの情報が大きな影響力を持つ現代、「おしゃれ」を備えている商品というものは有利である。実際に、JETROの2018年の『日本酒輸出ハンドブック-台湾編-』で、レストランや輸入・卸業者へのヒアリングで、似たようなデザインのボトルが多い中で、モダンなもの、ファッショナブルなもの、色のついたボトルが好印象を得ていると記述されている。
アルコール製品としての人気、交易商品としての立場、デザイン性の3つがそろっているクラフト酒は、日台双方で明るい可能性を帯びているといえるだろう。
ライター:駒田優希