
〜台湾と日本、宇宙開発の新しい架け橋〜
台湾の民間ロケット企業「TiSpace(台灣太空科技)」が、日本・北海道での打ち上げに挑戦──。
2024年、台湾と日本の宇宙開発における新たな一歩が静かに始まった。
台湾発のロケットが日本の地から打ち上げられるというこのニュースは、宇宙開発という枠を超え、日台の連携やアジアの民間宇宙産業全体にも大きな意味を持つ。
TiSpaceとは?台湾発の民間ロケット企業

TiSpace(Taiwan Innovative Space Inc.)は、台湾・台東県に拠点を置く民間宇宙ベンチャー。
2016年に設立され、小型液体燃料ロケット「ハヌマーン(Hapith I)」の開発を進めてきた。
これまで台湾国内での打ち上げも試みられてきたが、法規制や安全面の観点から、実際の商業打ち上げに踏み切るには課題も多かった。
そこでTiSpaceが選んだのが、日本・北海道大樹町の「北海道スペースポート(HOSPO)」だった。
北海道での打ち上げ成功、日本との協業へ

2024年、TiSpaceは「ハヌマーン」ロケットを北海道大樹町で打ち上げ、これが台湾の民間企業として初めて、外国からの本格打ち上げとなった。
日本の法制度、打ち上げ環境、インフラの整備が、アジア全体の宇宙産業ハブとして機能していることを象徴する動きでもある。
大樹町はインターステラテクノロジズ(IST)などの日本企業も活動しており、宇宙関連スタートアップの集積地として注目されている。
TiSpaceとの連携は、日本企業にとっても国際共同開発・アジア戦略の一例として無視できない事例となりつつある。
なぜ日本で打ち上げ?台湾国内との違い
台湾でも「南方澳」や「屏東」など、ロケット発射候補地が検討されてきたが、安全基準や規制の厳しさから、実用的な商業打ち上げは難しい状況が続いていた。
一方、日本の北海道スペースポートは、商業ロケット向けに整備された発射場があり、法的整備や地元自治体との連携体制も構築済み。
TiSpaceにとっては「近くて協力的な宇宙拠点」として、日本が非常に魅力的な選択肢だった。
アジア発の宇宙開発が動き出す
TiSpaceの日本打ち上げは、台湾と日本という“近くて遠かった”宇宙開発の世界をつなぐ象徴的な出来事となった。
今後、台湾の技術、日本のインフラ、そしてアジア市場をターゲットとした“民間宇宙開発ネットワーク”が広がっていく可能性もある。
両国間の協業モデルが定着すれば、他のアジア諸国やベンチャー企業の国際進出を後押しする流れにもつながるだろう。
まとめ:民間宇宙開発は国境を越える
今回のTiSpaceと北海道の連携は、宇宙開発が国家プロジェクトだけでなく民間主導の時代へ移行していることを示す好例。
そしてその民間のチャレンジが、国をまたぎ、地域を巻き込み、未来を描いていく。
日台のテクノロジー連携、そしてアジア全体の宇宙ビジネスの未来に、引き続き注目していきたい。
【参考情報】
- TiSpace公式サイト:https://www.tispace.com/
- 北海道スペースポート(HOSPO):https://hokkaido-spaceport.com/
- 中央通訊社「台灣TiSpace火箭在北海道發射成功」2024年記事より