台湾のEC市場は近年さらに拡大し、Shopee(蝦皮購物)・momo購物網・PChome 24h の3強を中心に競争が激化している。
本記事では、それぞれの特徴・ユーザー層・手数料をわかりやすく比較し、**「日本企業が台湾ECへ進出する際の参考」**としてまとめた。
1. Shopee(蝦皮購物):圧倒的シェアとモバイル特化

特徴
- 台湾最大級のECモール。特に 若年層(20〜35歳) の利用が圧倒的に多い
- スマホアプリ中心で、UIがシンプル
- フラッシュセール・クーポン・送料無料キャンペーンの頻度が高く、購買促進が強力
- マーケットプレイス型で中小ブランドも参入しやすい
- 近年ファッション・日用品カテゴリが強い
手数料(目安)
- 販売手数料:6〜8%
- 決済手数料:1.5〜2%
- 出荷手数料(Shopee Logistics利用時):約40〜70元/件
- 公式ストア(Shopee Mall)は手数料がやや高め
向いているブランド
- トレンド商品、アパレル、雑貨、美容系
- 価格競争にも対応できる商品ライン
- SNS運用との相性が良いブランド
2. momo購物網:売上No.1、購買力のあるユーザーが多い

特徴
- 売上規模では台湾No.1クラス。独自の TVショッピング連動 が強み
- ユーザー層は 30〜50代の女性 が中心、購買力が高い
- 高品質・信頼性を重視するブランドの商品が売れやすい
- 物流が速く、返品対応などの運営品質が高評価
- 出店審査が厳しく、ブランドの信頼性が求められる
手数料(目安)
- 販売手数料:12〜15%
- 決済手数料:2〜3%
- システム利用料:月額プラン or 売上に応じた歩合
- カテゴリにより変動幅が大きい
向いているブランド
- コスメ、家電、健康食品、ハイエンド日用品
- 信頼ブランドとして売りたい日系企業
- 価格帯が中〜高の商材
3. PChome 24h:配送スピードNo.1

特徴
- 台湾最古参のECで 「24時間以内配送」 がブランドイメージ
- 自社倉庫+自社配送で、物流品質が安定
- ユーザーは 30〜50代の男女で、特にガジェット・家電に強い
- Shopeeに比べて価格競争は少なく、ブランド価値を保ちやすい
手数料(目安)
- 販売手数料:12〜15%
- 決済手数料:1.5〜2%
- 保管料・配送料は委託方式により異なる
向いているブランド
- 家電・デジタルガジェット
- 高信頼商品・保証が重要なジャンル
- 在庫を倉庫に預けて確実に販売したい場合
4. 手数料・特徴の比較表(ざっくり)

5. 日本ブランドが台湾ECに出店する際のアドバイス
① まずはShopeeで市場テスト
- 手数料が低く、参入しやすい
- SNS連動のキャンペーンを使いやすい
- インフルエンサー施策との相性も良い
② momo・PChomeは“信頼ブランド”としての展開に最適
- 審査基準が高いため、ブランド力のあるメーカー向け
- 正規代理店としての証明や商品説明が重要
- 売れれば単価が高く、リピート率も高い
③ 複数モール展開で露出を最大化
台湾は1つのモールだけではリーチが不足しがち。
SNS(Instagram・TikTok) → EC導線 → Shopee/momo/PChome の組み合わせが理想的。
まとめ
台湾のEC市場は急速に成長しており、
Shopee=流通量・若年層、momo=購買力・安心、PChome=物流の速さ という三者三様の強みを持つ。
日本ブランドにとっては、
- Shopeeで市場テスト
- momoでブランド確立
- PChomeで物流品質を活かす
という展開が最も効果的だ。
参考文献
- 《2024 台灣網路報告》(2024 Taiwan Internet Report)
https://report.twnic.tw/2024/assets/download/TWNIC_TaiwanInternetReport_2024_CH_all.pdf - 《2023 台灣網路報告》(2023 Taiwan Internet Report)
https://report.twnic.tw/2024/TrendAnalysis_globalCompetitiveness.html - PChome Online 年報 2022(PChome 2022 Annual Report)
https://corp.pchome.tw/en/wp-content/uploads/2023/06/2022Annual-Report.pdf - Taiwan eCommerce 市場分析レポート “Taiwan – eCommerce”
https://www.trade.gov/knowledge-product/taiwan-ecommerce - 経済産業省『令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書』(2024 METI Survey on E-Commerce)
https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005-a.pdf - 『2024 ネット通販市場白書』(矢野経済研究所)
https://www.yano.co.jp/market_reports/C66102200 - 『2025年版 ネット通販市場白書』(矢野経済研究所)
https://www.yano.co.jp/market_reports/C67101800 - 「インターネット通販市場に関する調査を実施(2024年)」(矢野経済研究所 プレスリリース)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3585 - 「2024年日本のEC市場、3大ECモールが牽引し前年比13.0%増」(Nint の分析記事)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000033212.html


