現地で日々成長を遂げるUNITED ARROWS TAIWAN!

2013年10月31日に海外初の直営店となる「UA 台北店」を台北市に路面店でオープンし、現在5年目突入。2016年7月4日には自社ECサイトを開設した。去年、10月6日には信義區に台湾2号店をオープンした。

今回、「UNITED ARROWS TAIWAN」で活躍されている森本氏にインタビューし、海外に出店するきっかけや今後のチャレンジを聞くことができた。

台湾へ出店のきっかけ、台湾へくるきっかけ

以前から、グローバル展開をしたいという考えがありました。私たちのお店は海外のメーカーに商品をおろしたりして海外と接点があることから、その土地で会社を作り営業をしたいと海外でのチャレンジを可能性として考えていました。そこで国の候補がいくつかあった中で、台湾が選ばれました。理由は、日本の文化やファッションに好意的な環境があったこと、親日であること、比較的四季があるということが良い条件だと思ったからです。

また、会社的にも初めての駐在員を出すということで、希望者は多いんだろなと思いながら試しに手を挙げてみたら、意外と人気がなくてびっくりでした(笑)自分自身も、何か新しいことを始めたいと思っていて、たまたま台湾の話が入ってきたのでいい機会だと思いチャレンジしました。

台湾へ活動を広げて、学び、気づき、変化したこと

もともと台湾にはセレクトショップの文化はあまりなくて、そこに自分たちが日本でやってきたことを持ってきたら喜んでもらえると思っていたのですが、全然お客さんが来なかったんです。以前からたくさん宣伝もして、有名人にも媒体にも取り上げてもらっていたのですが、お客さんには全然伝わっていませんでした。それぐらいの宣伝をしたところで伝わっていない、こんなにも知られてなかったのかと痛感しました。また場所も分かりにくいですし、周りは飲食店ばかりなので、お店を開けても気づいてくれる方は少なかったです。日本と比べてあまりにも違いがあると感じました。

また、お店の外見をみて洋服が高そう、高級だという認識から、気軽に入りづらいという声も聞きます。まず、買う買わない別でまた来たいと思ってもらえる接客、サービス、試着をしてもらいブランドを知ってもらう、最後には楽しんで帰ってもらう、できることからコツコツとが今の課題です。

また、日本では会社がいろんなプロモーションや雑誌で宣伝したり、待っていれば宣伝はやってくれる。ただ、台湾では宣伝してくれる人を待っていても誰も何もやってはくれない。スタッフとやりとりしながら宣伝の仕方を考えました。答えは、台湾に合わせてFacebookで宣伝しようかと。ユーザー数は最初は数百人だったが、今は65000人ほどいます。Facebookだけだと情報が不十分なので2年目からはインスタグラムも始め、ラインも活用しています。お客様が洋服に対してなんて感じるのだろうと想像しながら更新をしています。そのうち、人数も、洋服を買ってもらえる確率も増えて来ました。

台湾に出店してから、海外で営業するにあたって大変だと感じること

会社では、接客を特に大切にしています。どうやって接客しよう、どうしたら喜んでもらえるか、真面目に朝から晩まで考えてました。ただ、なかなか台湾の方には理解してもらえなくて、サービスに対して日本と台湾は考え方が根本的に違うと感じ、最初は苦労しましたね。

また、日本と台湾で売れるものが全然違うんです。日本で売れ筋のある商品は台湾でも売れると思っていたのですが全く売れない。逆に日本で売れないものが台湾では売れたり・・・。そのギャップは最初の頃はすごかったです。そして、洋服は日本の季節に合わせて販売するので、台湾は夏が日本よりも長くどうしても期間が余ってしまうんですね。そこをどう合わせるか、埋めていくか、が今の難題です。台湾の気温に完全に合わせてしまうとお客様には面白くないと飽きられてしまうし、日本の夏物の商品はゴールデンウィークから売り出しますが台湾では3月からもう半袖で過ごせるので、このあいだの期間をどうしようか、切り替えるタイミングはどこでしようかと未だに悩むところです。

UNITED ARROWSは、一つ一つのアイテムを組み合わせてコーディネートする楽しみを提供する商売をしていますが、一つの商品をたくさん作ることは難しいんです。つまり、今はほとんどが日本から台湾に商品を持ってきているので、台湾の季節にどのように合わせていくかが難しいです。

日本と海外の客層の違い、販売方法はどのように変えているか

年齢層は、日本から商品が入ってくるときに関税がかかるので価格は日本より高く売っています。なので、日本より台湾の方が年齢は高いですね。松山にあるBEAUTY&YOUTHでは学生さんも来られます。ECサイトと百貨店は、8割は女性の方です。路面店では男性の方が比較的に多いです。

台湾では、ディスカウントや値引き、おまけがお買い物のベースになるので、百貨店の方はディスカウントや値引きをする頻度が多いです。台湾の女性の方は特に値引きには敏感です。なので、このようなイベントやノベルティを差し上げたりなど、このような機会を日本よりも圧倒的に増やしています。細かい特典やちょっとしたプレゼントがもらえるなど、日本だと絶対やりませんが台湾では一昨年くらいからし始め、台湾流を少しずつ増やしていきたいなと思っています。もともとお店を知らなかった方がイベントをきっかけに知ることが前よりも確実に増えましたね。

グローバルマーケットでの成功要因

ポイントは、現地に合わせるとこと、合わせないとことのバランスの見極めだと思っています。私たちは台湾にないものを生み出す、新しい価値を感じてもらうことが目的ですが、現地化しすぎると、台湾で商売を続けるためが目的になってしまいます。私たちの元々のコンセプトとずれてしまいます。なので、現地化させていくことと、現地化させ過ぎずにきちんと自分たちが何の目的でどんなことをやりたいかということとのバランスをコントロールすることが一番難しいし、一番大切なのではないかなと思います。

ですが、見極めるのは難しいんです。答えはわかりません。価格の話をすると、台湾の習慣に完全に合わせて価格設定すると、元々日本側で設定していた値段の意味が失われてしまいます。グローバルに広げていくのであれば、その土地に合わせた適切な価格設定をしっかりと見極めて出店していかないといけないところだと思います。そのためにはちゃんと日本側でローカライズさせ過ぎないようにコントロールすることが重要だと思います。

また、ECサイトにおいても、例えば台湾ではコンビニで商品を受け取れることはものすごく重要な要素だったりします。いつでもコンビニで受け取れることが台湾でECサイトをやる上での成功要因だったりするので、そこは現地の習慣に合わせないといけないところだなと思います。自分たちのブランドの色をキープしつつ、合わせるところは合わせる、これが大切ですね。重ねて、そのような台湾での出来事や、変化があったことなどを日本の本社と情報交換、また意思疎通を常にしておくことが大事だと思います。

今後のチャレンジ

台湾に今年新しいブランドを持ってくる予定です。台湾にまだないブランドを持ってくることがチャレンジですね。僕自身としては会社が設立する時からきてますが、初めの何をやれば良いのか分からない、何も決まっていない、その状況が今思い返すと一番面白かったです。それを他の国でもう一度やってみたいです。以前から会社では中国大陸へのチャレンジを考えているので、それが一つのきっかけに近い将来なりそうです。できれば現地のスタッフと一緒に新しいビジネスをやっていきたいですね。

インタビューを終えて

取材を終えて、最後に予定にはなかった「力を入れていることは何ですか」と質問をした。森本氏は「今とこれからが非常に大事になってくる、真の意味での現地化させるために現地のスタッフを経営人に育てたい」と語った。別の国に行き新しいことをしたい、新しい国に行き一からスタートしたいという強い思いがある中で、最後に語ったのは、自分自身のことではなく、一番身近な現地のスタッフに対する思いだった。日本人にはないグローバルスキルがあるからその長所を生かしてもっと伸ばしたい、とスタッフのことを一番に考えていた。森本氏は、台湾にくる前にイタリアへの出張を経験している。ファッションの本場で身についた経験と知識を台湾で生かしつつも、台湾現地の習慣を読み取り現地に寄せるところは寄せながら、その環境に柔軟に順応しているところは森本氏の今までの価値ある経験があってのことだと思う。今後のUNITED ARROWSの成長に期待だ。

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