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進む台湾のキャッシュレス化

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出典:一卡通票證公司

台湾といわれると何となく日本と同様に現金社会であると思われがちだが、実はキャッシュレスの風潮がここ最近強い。台湾の人々はICカードやクレジットカード、デビッドカード、時にはアプリを介したモバイル決済を使い分けている。

 

広く浸透しているICカード

台湾にも日本のSuicaのようなICカードが複数存在する。台湾で四大ICカードと呼ばれるものとしては「悠遊カード」「iCash」「iPass」「Happy Cash」である。これらのカードはIC乗車カードとしてだけではなく、コンビニやドラッグストア、飲食店、スーパーマーケットなど、生活の至る場所で利用が出来る非常に便利なカードになっている。実際にコンビニを訪れてみると、現金で支払う人よりもこれらのICカードで支払いをする人の方が多いように思われる。昨年2017年10月に行われた調査によると、回答者の92.3%がICカードを保有しており、一人当たり平均して2種類のカードを保有していることが分かった。回答者の悠遊カードの保持率は80%を超え、iCash及びiPassは40%、Happy Cashカードは販売開始が他のカードと比べて遅かったものの20%を上回っているような状況である。

 

クレジット、デビッドカードの利用も年々増加中

出典:Money101.com.tw

ICカード同様、クレジットカードやデビッドカードの利用率も高い台湾。今年2018年3月現在で流通しているクレジットカードはは42,117,421枚と報告されており、そのうち28,222,906枚が有効カードとされている。現在台湾では上記に説明があったICカードや下記に説明のあるモバイル決済と組み合わさったクレジットの利用が進んでいる。

 

例)「中國信託LINE Pay一卡通聯名卡」:クレジット、デビッドカード機能に加えて、iPassとしての機能がついたLINE Payカード。

出典:一卡通票證公司

電車内でもよくLINE Pay一卡通聯名卡の広告が大きく打ち出されている。

 

じわじわと生活に広がるモバイル決済

これまで台湾のキャッシュレスな決済方法をいくつか紹介してきたが、最近よく見かけるのがモバイル決済である。

MIC産業情報研究所が今年2018年1月に発表した調査では、スマートフォンユーザーの39.7パーセントがモバイル決済を使用していることを報告している。日本銀行が2017年6月に報告した日本のモバイル決済の利用率6.0%と比べるとその利用率の高さは歴然。

またNFCが利用できる携帯電話は61.4パーセントに達していることも報告されていることに加え、モバイル決済自体の認知度は91%に増加し、77%のスマートフォンユーザーがモバイル決済を使い始める、または引き続き使用する意欲を持っていることからも台湾の人々のモバイル決済への関心の高さがうかがえる。

 

ユーザーの傾向としては日本と同様、26-45歳が全体のユーザーの7割を占めており、またその中でも26~35歳のユーザーは50.7%と最も高い割合となっている。やはり台湾のスマートフォンのメインユーザー層による利用が高いことがわかる。

 

複数あるモバイル決済のサービスの中で台湾の人々が最もよく使うものは日本でも利用が進んでいる「LINE Pay」(25.2%)、続いて「Apple Pay」(17.9%)、台湾系の「街口支付」(10.9%)、「Android Pay」(9.9%)、玉山銀行発の「玉山Wallet」(5.2%)と報告されている。モバイル決済のタイプには大きく分けて「NFC型」と「QRコード型」が存在するが、前者にあたるのが「Apple Pay」「Android Pay」、後者にあたるのが「LINE Pay」「街口支付」「玉山Wallet」である。

 

実際に台北市内の寧夏夜市に行くと下の画像のようにあちこちの屋台にAlipayと街口支付のQRコードが張り出されており、QRコードで支払いを行う客の姿もちらほら確認することが出来る。

Alipayに関しては、寧夏夜市で更なる利用者の獲得のためにオリジナルマスコットキャラクターを用いたキャンペーンも実施していた。このキャンペーンは寧夏夜市のみならず、台北市内の複数の場所で行われている。

 

 推進される台湾Pay QRコード統一運動

至るところで利用が進んでいるモバイル決済であるが、政府としても2025年までに国内の利用率を90%を目指すことを発表している。しかし、現在台湾国内には先ほど紹介したLINE Payを始めとする複数のモバイル決済サービスが存在しており、それぞれが独自のQRコードを持っているため、店頭にQRコードが乱立してしまったり、ユーザーのデバイス内にQRコードを表示するためのアプリがいくつも必要になってしまう。こういった状況受けて政府財政部は「台灣Pay QR Code共通支付」を進めている。これによって乱立してしまっているQRコードの統一とともに、台湾国内のモバイル決済のエコシステム確立も目指している。

 

キャッシュレス社会へ

日本よりもキャッシュレス社会への動きが活発な台湾。今回説明したそれぞれの決済方法が独立するのではなく、一体化したサービスも多く存在しており、また国としてもキャッシュレス社会を目指してとりくみを行っていることからも、ますますキャッシュレスの動きは大きくなっていくだろう。台湾の人々が現金を持ち歩かずにショッピングを楽しむ未来は、そう遠くないかもしれない。

 

ライター:宮路菜月

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