日本ではクリスマスやハロウィン、バレンタインデーなど西洋のイベントが日本経済に良い影響を与えるが、台湾では、いくつかのビッグイベントが良い経済効果をもたらす。記念日マーケティングをうまく利用して何らかのプロモーションをかけると消費者の注意を惹きつけることができる。また、台湾と何らかの関係のあるビジネスを始める際には以下の記念日・イベントを抑えておくとビジネスがうまく行く可能性が高い。
台湾人にとって大切なイベント
台湾のイベントは中国本土から影響を受けていることが多く、台湾は家族を大切にする文化が強いため中国と同じように大切な行事ほど家族と一緒にお祝いする。
春節が1番大切
google検索のトレンドを元にしたグラフであり、最高値100を基準とし、検索の関心度を相対的に表している。100 の指標はそのキーワードの関心度が最も高いことを示し、0指標はそのキーワードに対する十分なデータがなかったことを示す。台湾においてこの5イベントの中で1番関心が高いのが春節であり、次には母親節、中秋節と続く。
この中で一番盛大にお祝いするイベントは春節であり、日本で言うお正月に当たるため、台湾人にとって非常に大事な記念日である。日本と同じように実家に帰省して家族と過ごしたり旅行に出かけるのが一般的だ。春節の当日を含め1週間ほど学校や仕事が休みで大型連休になることがよくあり、レストランや百貨店もお休みになることが少なくない。
台湾では日本と同じように新年には住居だけでなく、身なりを整えて新年を迎えようと言う意識があるため年末は美容室に行く人が多い。またその際に美容院は通常の10%から30%アップの年末金額を設けている。しかし、台湾では春節のような大切なビッグイベントがいくつかあり、それらのイベントが台湾経済と関係性を持っていることが多い(記念日マーケティング)。例えば、母親節や中秋節である。一人暮らしをしている人も実家や親戚の家に帰省するのが一般的であり、これらは家族デーなのである。主に「中秋節」では家族や友達にプレゼントを贈り、「母親節」では母親にプレゼントを贈る習慣があるため、みんなその日のためにお金をキープしておく。また近年11月11日に行われる「独身の日」も台湾にとって大事なビックイベントになりつつある。今回は母親節・中秋節・独身の日について紹介する。(週年慶も台湾にとって経済効果の高いイベントであるが、以前紹介したことがあるため省く。「台湾進出前に知っておきたい週年慶とは!?」)
母親節
台湾の母の日は日本や世界と同じ5月の第2日曜日である。日本でも母親や奥さんに花またはプレゼントを贈る習慣があるが、台湾の母の日は日本よりも盛り上がりが違う。台湾のといえば、親戚一同集まって食事に出かけ、一緒にお祝いする。実際に百貨店やECサイト、小売業者はバレンタインデー(台湾では七夕に当たる)、父の日よりも意識しており、3月末からセールを開始して母の日が近づくにつれて売上が上がる傾向がある。グラフからも3月末から徐々に検索エンジンにかけて母親や奥さんへのギフトを探し始めることが読み取れる。5月中旬の母の日がその年の上半期売上を決めるくらいの経済効果がある。また百貨店や花屋はもちろん高級ホテル、スーパーマーケット等町中で「母親節快樂」を見かける。
母の日と父の日の関心度を比較しても父の日は母の日の50%以下の関心度である。台湾では社会人の90%以上が母の日にお祝いする。実際に母の日の平均顧客価格は父の日や七夕よりも高い。少し古いデータであるが、2016年母親への平均プレゼント価格予算は3,889元(約1万2590円)その一方で父の日の予算は3,003元(約9,721円)と、父親の予算の方が母親に比べて23%ほど低い。母の日のお祝いの売上高は 44.49億元(約155.72億円)である。
独身の日(雙11)
最近注目を集めているイベントがある。11月11日の「光棍節(こうこんせつ)」である。11月11日が1111と1本であることを1人とかけて「独身の日」と呼ばれているが、この日にアリババグループのECサイトで世界最大規模のセールを行なっているため、中国をはじめとし、台湾でもこの日は一大ショッピングイベントなのだ。経済と文化の関係性が非常に強まっている2つの国であるため、海峡の反対側にある台湾もインターネット媒体を通じて感染する。また台湾は日本よりも中国の影響を受けやすいため、中国経済が台湾経済の鍵を握っているとも言える。このイベントは数多くの企業が売り手として参加していること、消費者向けのディスカウント等お得な特典が多いため人気なイベントである。例えば、旅行予約サイトのAGODAでは11日に予約すると11%のディスカウントを受けることが可能、ホテル予約サイトのHotels.comでもディスカウントを行い、台湾で非常に人気な商品である。
独身の日のイベントの売上は年々上昇しており、10周年を迎えた昨年2018年は2017年を27%上回る史上最高額を記録。2,018年の取引額は6,823百万米ドル(2,135億中国元)であった。台湾と中国の経済・文化の関係性が非常に密接としてるため、中国の利益や経済が発展すればするほど台湾経済も比例していく。そのためこのようなイベントは台湾にとってとても重要性を持つ。
中秋節
台湾人にとって中秋節は春節の次に大切なイベントの認識がある。春節・端午節・中秋節は台湾の三大節と呼ばれ、大きなイベントとしてえ盛大にお祝いするが、元宵節は春節と近いためそこまで盛大ではない。その一方で中秋節は日本でいう十五夜の日であるため、家族で集まり、1年で1番綺麗な月を眺めながら月餅を食べる。中秋節では月餅の販売売上はピークを迎え、製菓業界にとっても重要なピークシーズンでスーパーマーケット、老舗、小売店などの小売チャンネルへの需要もある。ホテルや百貨店、レストランは市場を掴むために特製月餅を販売する。また、台湾では中秋節は皆で焼肉を食べる独自の習慣があるため、肉業界や焼肉屋さんもその恩恵を受ける。台湾の大手肉メーカー「ト蜂」は2018年の中秋節での売上が61.1百万米ドルにのぼり、2019年は200.2百万米ドルに増加する見込みがある。なぜなら今年の中秋節は金曜日であり、3連休だからである。
そして注目されているのがギフトである。
お菓子の詰め合わせやギフトボックスを贈る人が多く、贈る相手は主に同僚が1番多く、親戚・付き合いの長い友達が上位であり、月餅をプレゼントするのが45%であり、全体の約半分に当たる。その他はパイナップルケーキやゼリー、フルーツ等。
台湾の記念日マーケティングのこれから
独身の日は日本の消費者には浸透していなく、11月11日と言うと、「ポッキーの日」という認識があるため11月11日はグリコのポッキーが1番売れる日だ。このように消費者を惹きつけることができれば大きなチャンスを生み出すことができる。記念日マーケティングには潜在的能力があり、台湾ではインフルエンサーの影響力が非常に大きな存在なため、インフルエンサーをうまく活用すれば台湾の消費者に伝えることができるのではないだろうか。今回取り上げた記念日マーケティングは母親節・独身の日・黑色購物節・週慶節であるが、近年はブラックフライデーやダブル12の買い物数や量が増えている。どれほど台湾の消費者を惹きつけることができるかによって変わってくる。弊社では台湾を中心にアジアのインフルエンサーをネットワーク化し、日系企業の台湾進出のサポート、訪日外国人へのPR、インバウンド施策を展開中なので、以下からいつでもお問い合わせが可能である。お問い合わせ
また、今回紹介していない台湾のイベントの七夕についても本サイトで紹介している。
「台湾の七夕は男にとって試練!?短冊に願い事を書かない台湾での七夕の過ごし方とは」
ライター:富永千尋