台湾での新型コロナウイルスの対応は1月20日の中央感染症指揮センター設置から1月23日武漢からの旅行者の入境を禁止。武漢との直行便運航停止や、2月6日マスクの購入実名制開始、2月6日中国在住の中国人の入境を全面的に禁止、3月19日外国人の入境を原則的に禁止など、ほぼ毎日のよう対策が政府から発表されており、実際に台湾に住んでいて非常に迅速かつ、的確な対応がされており安心感がある。
なぜこんなに対応が早いのかというと、台湾はSARS時の被害の経験を活かし非常に早い段階から今回の新型コロナウイルス(COVID-19)対応がされている。SARS(重症急性呼吸器症候群)は2002年11月16日の中国南部の広東省を起源とした症例に始まり、中国では症例数5300件を超え、32の地域と 国にわたり8,000人を超える症例が報告され、台湾の症例を最後に、2003年7月5日にWHOによって終息宣言が出された。
台湾はSARS の時は中国大陸と香港に次いで世界第三の被害地域となっており、2003年4月24日に台北市立和平病院で集団院内感染が発生し、他の院内感染にも広がり拡大することになった。
台湾では新型コロナウイルスの国内感染者が早い段階で0人になり、5月16日に国内感染者数を34日連続で押さえ込んでおり、今現在、防疫の対応もありつつも、マスクは必須だが普通に生活を送れている現状ではある。少しずつ台湾国内に関しては緩和されようとしている。
2003年の時とは症状や人の行き来など状況は大きく違うが、過去どのくらいの期間で台湾へ訪台する人が戻ってくるのかをみてみてたい。
訪台旅行客数年間推移(2001年から2018年まで)
來臺旅客人次 (人次)
2019年の訪台数は11,864,105人とSARS前の2002年と比較すると約4倍の人が台湾に訪れていることになる。年間推移でみるとそこまでインパクトが無いようにみえるが、SARS前年は2,977,692人と比較するとSARSのあった2003年は 2,248,117人と前年比で24.5%減になっている。
訪台旅行客数月間推移(2001年から2019年3月まで)
月間の推移で確認してみると、SARSによる減少、特に院内感染した4月からの下げ幅が大きい。
渡航ができない状態であるので当たり前だが月別でみると新型コロナウィルスでの減少のすごさが際立つ。
訪台旅行客数2002年から2004年の推移
当時の推移からみると、院内感染が起きた感染が増えた4月〜7月までの4ヶ月間はかなり数が減少し、一番下げ幅が大きかった5月は前年比で85%近く減少しているが、7月約34%、8月約18%前年比減少と回復傾向になった。
訪台旅行客数の2002年から2004年比較
SARSの翌年2003年7月にWHOが終息宣言し、翌月には前年の80%に回復するものの、SARS前年を上回る水準に戻るのは2004年6月となり、SARS前の旅行客数に戻るまでは約1年2ヶ月かかった。
台湾の現状
状況が違うので他の国には当てはまるものではないと思うが、どこの国も経済が止まってしまっていることには変わりく、このパンデミックな状態で人の往き来がSARSの時のように4〜5ヶ月で80%に回復になるということは今回の新型コロナウイルスでは難しいだろう。
約34日国内感染者がいない台湾では普通に外は歩けているが、経済的な部分も大きく明暗を分けている。昨年で年間約1100万人以上が渡航している台湾では、ホテル・観光業・旅行者をターゲットにしてる飲食店などは軒並み厳しい状態が続いている現状。アフターコロナではまず国を跨ぐことができないことを前提に内需の取組みが必要なのではないか。
参考:
WHO/cumulative Number of reported Probable cases of severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)