飲みニケーション。これは日本において社会人や大学生など、大人になった人間同士の間で行われているお酒を媒介とするコミュニケーションの1つ。(お酒を)飲む+コミュニケーションの合成語である。企業や大学では頻繁にこの飲みニケーションが行われており、もはや文化である。シャイな日本人の人間関係を円滑にし、信頼関係を構築させる重要な役割を担っている。
美食大国といわれるだけあって台湾でも存分にお酒は嗜まれ、日本同様に飲みニケーションが行われていると思い込んでいた。しかし、それは単なる思い込みだった。意外と飲まないのである。意外な台湾の飲酒事情を紹介する。
台湾の飲酒率
意外と飲まない台湾の飲酒率、日本やその他諸国の飲酒率を表にまとめて比較してみた。
(飲酒率の定義:18歳以上の国民を対象にし、頻度は問わず飲酒すると答えた人の割合)
(Health and Health Care – ISSP 2011より筆者作成)
(参考:https://udn.com/news/story/1/2374419)
台湾の飲酒率は11.4%と明らかに低い数値となっている。日本の39.6%、世界平均の42.7%と比べるとおよそ30%も差がある。なお、飲酒率世界最高はフィンランドの68.0%となっている。
台湾のお酒消費事情
飲酒率の低い台湾だが、それは以前の話であり、近年の台湾では飲酒率増加の兆しが見える。お酒の輸入統計を見ても金額・数量ともに増加していることが明らかである。
さらに、台湾国内の酒類市場に占める輸入品比率が増加している。輸入品比率が上がっているため、今後日本のお酒も勝機があるのではないだろうか。
台湾の変わりゆく飲酒習慣
これまで台湾では日本のように「飲みニケーション」という文化はなかった。台湾でお酒を飲む機会といえば、下記のような場面だという。
- お正月
- 忘年会
- 誕生日
- 結婚式など
このようにお酒を飲む機会は非常に少ない。日本ではおなじみ「花金」という言葉も存在しない。そのためサラリーマンや学生が街中で酔いつぶれて寝ているという光景は台湾では見かけない。しかし、前述した通り台湾での飲酒量は確実に増加している。また、日本のようにお酒をコミュニケーションの1つとする傾向がみられるようになっているのだ。
隨著台灣經濟的發展,拿著一只皮箱闖盪天下的台灣商人,喝酒談生意往往是必要的手段(引用:https://eyeseenews.com/special-column/480)
日本語訳をすると、「台湾経済の発展に伴ってスーツケースを1つだけもって商売を行う天下の台湾商人には、お酒は商売の話をするのに必要な手段だ」である。まさに飲みニケーションだ。さらに台湾経済の発展に伴ってとあるが、現在インバウンド、アウトバウンドを中心に世界から注目を浴びている台湾(詳しくはhttps://taiwanlabo.com/marketing/taiwanmarket/)は今後も経済発展が進むと予想出来る。台湾でも飲みニケーションが文化として定着するのも近いだろうか。
台湾 好まれるお酒の傾向
台湾ではビールや白酒、紹興酒がよく飲まれていたが、お酒の嗜好が代わりつつある。梅酒や日本酒など、甘めのお酒も人気になってきている。日本でも有名なマンゴービールやパイナップルビールのような甘いお酒やカクテル系のお酒も増えてはきているが、甘いお酒を飲む人まだまだ少数派。しかし、今後期待される台湾の飲酒率の増加に伴って、お酒の嗜好は変わる可能性は十分にある。日本のようにチューハイやサワーが店頭にあふれていても何ら不思議ではない。